空気環境改善策①

伝統的な日本の住宅は床下や天井も通気を軸に構築され、ふすまや障子も充分な開放スペースを確保した、空気の大胆な循環・リセットを考えた作りでした

対して現代の住宅は、エネルギーを
「最小限に最大効率活かす」
といった観点から高気密・高断熱仕様が標準化されています。

密閉に近い状態で行き場を失った化学物質をどう対処するか?
空気環境改善のキーポイントはそこにあると思います。
現代の住宅で、おいしい空気を吸うにはどうしたらいいのでしょうか?

空気環境改善策①換気

室内の空気が汚染されているならば、その汚染された空気を排出、新鮮な外気と入れ替えれてしまえばいい♪全開口部解放ーーーー!!!

いたってシンプルな発想で、「そんなの知ってたYO!」って思われるかも知れません。

ですが、化学物質の濃度を下げるには効果的な方法です。
しかも誰にでも、手軽に、即実践することができる。これが室内換気の最大メリットです。

宮城・東北といえど、6月後半~10月あたりまでは気温・湿度の高い日々が続きます。
このような高温・多湿な条件下では化学物質の揮発は促進され(とくに日当たりの良い部屋では)濃度が高くなります。

適度な換気により一時的ではありますが上昇した化学物質の濃度を一気に下げることができます。

一時的というのは、化学物質は建材などからジワジワと繰り返し放散してくるので、換気を止めるとまた濃度は上がりはじめます。

常設の換気設備を活用し、なるべくソレを運転しておく事が望ましいでしょう。
(換気設備に関しては、次項に24時間換気システムとして紹介)

日当たりの良い部屋は別として、夏場の高い湿度はカビ・ダニの発生にも好条件です。ですがこれにも、換気を行うことにより湿度調整することで、カビ・ダニ発生の抑制、浮遊するハウスダストの排除に効果があるといわれます。
※ただし、花粉症などアレルギーのある方は換気時、新鮮な空気とともに花粉も取り込む可能性があるので注意が必要です。

また一部の部屋のみを換気して、一部は放置するなど、全体にバラつきがある状態ですと、換気されなっかった部屋の高濃度な化学物質が、換気を終えた部屋に流入するおそれがあるため、可能であれば建物全体の同時換気を心がけるとよいでしょう。
関連LINK:化学物質の室内濃度指針値一覧表

 

 

空気環境改善策①換気/24時間換気システム

24時間換気システムとは室内の空気をファンなどの機械を使って強制的に2時間に1回(0.5回/h)以上、家じゅうの空気が入れ替わるよう計画的に換気して、24時間、常に新鮮な空気を維持するためのシステム(換気設備)です。

重複しますが、住宅の高断熱高気密化にともない、VOCをはじめとした、化学物質によるシックハウス症候群の増加が問題になりました。

そこで、2003年に建築基準法が改正され、24時間換気システムを設置することが義務づけられました。

建築に興味ある方はご存知あるとは思いますが、24時間換気システムの方式には第一種換気から第三種換気までの3種類の方法があり、それぞれにメリット、デメリットが存在します。それらを理解し、考慮した上で自宅に適した換気方式を採用し、シックハウス症候群等、室内空気の汚染から身を守りましょう。

◆第一種換気
第一種換気とは、給気と排気の両方にファン(機械給気/機械排気)を使って、強制的に換気をするタイプです。
単純に、小型の壁掛けファンを使った分散型のものから、給気と排気は1か所で行い、ダクトを伸ばして各部屋の換気をする集中型があります。
第一種換気は、給気と排気が機械で行われることにより常時安定した計画換気が行えます。が、他の換気システムと比較してイニシャルコスト及びランニングコストがかかります。

◆第二種換気
第二種換気とは給気にファンを使って強制換気をして、排気は自然換気をするタイプです。
室内の気圧が屋外よりも高くなるので(正圧)、室内に塵やホコリなどが入りにくくなります。
そのため、病院の手術室や精密機器の製造工場などで採用される方式です。
一般の住宅でこの方式を採用すると、気密性能によっては湿気が壁内に侵入し、壁体内結露(内部結露)が懸念されるため充分な気密性の確保を図ることが大切です。

◆第三種換気
給気は自然給気で、排気にファンを使って強制換気するタイプです。
最も一般的に行われている方式です。
低コストで計画換気を実現できますが、給気口が自然給気となるため、機械排気口の位置関係や外部の風の方向等によって給気機能が低下する恐れがあり、充分な気密性の確保ができていないと計画換気自体が行われないので注意が必要です。

※換気のルートは、一般的にトイレや浴室洗面などの水廻り 及び 廊下・階段等に機械排気(パイプファン)を設け、各居室に機械給気(パイプファン)若しくは自然給気口を設け、各機械排気に至る出入口の建具には空気が流れるように、アンダーカットされた建具やガラリ付きの建具を設け建物全体に計画換気を行ないます。

また、音や換気時の熱損失が気になる場合は、各居室単独で給排気を行う同時給排気タイプ(第一種換気/換気が各居室で完結するシステムで、換気ガラリやドアアンダーカットが取れない住宅に最適)の換気扇もあります。
ただし全ての居室に同時給排気タイプを使用すると、居室とトイレ・廊下などと温度差が発生します。

【豆知識】
同時給排気タイプには、非熱交換型と熱交換型換気扇とがあり、前者は冷暖房時に換気をすると、部屋の涼しさや暖かさが逃げてしまうといった非効率なデメリットがあります。
それをを解消する目的の熱交換型換気扇は空気を入れ替える時に逃げる熱量を抑えます。

給気ファンには、花粉や粉塵をカットする機能や、建物内外の温度差による結露防止タイプ等があり、また、排気ファンには人感センサー(トイレ)や温度センサー(脱衣室)を内臓することで、局部換気と24時間換気の機能を兼ね備えた機種等があります。

標準装備の24時間換気の形式がどの様になっているか、また、予算の関係を考慮して熱損失の対応や換気扇自体の結露対策や消音対応など検討する必要があります

関連LINK:化学物質の室内濃度指針値一覧表

空気環境改善策①換気まとめ

材に含有される化学物質は、同一量が永遠に放散され続けるわけではありません。
通常、新築時の放散量をピークに、年月を経るにしたがい定期的な換気など適切な条件下では、放散量/ゼロにはなりませんが、その量自体は徐々に減っていきます。

何事もそうですが、続ける事が大事なんです。

充分な換気設備が施されていない住宅であっても、窓を開けることはできます。
少し手間でも健康のためには空気の入れ替えを忘れずに行うよう心掛けて下さい。

その他の空気環境改善策
➡厚生労働省健康局生活衛生課:生活環境におけるシックハウス対策
➡空気環境改善策②まず汚さないという考え方
➡空気環境改善策③FFC免疫住宅

関連ブログ一覧
➡住宅と免疫力について考える
➡住宅と免疫力について考える(2)
➡住宅と免疫力について考える(3)
➡シックハウス症候群(化学物質への対策)
➡シックハウス対策(ベイクアウトでの化学物質除去)
➡シックハウス対策(換気が困難な時)
➡千葉ハウジングからの新提案(FFC免疫住宅)

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